コロナと向き合う私の生活

ニューヨークの現状を見聞きするたびに、胸が締めつけられます。たくさんの人が、家族にも会えず、ひとりで死んでいきます。ひとりで埋葬されていきます。ニューヨークの人たちとともに今、そこに自分がいられないことが、悲しく、辛いです。

今のニューヨークと東京を、身をもって体験した私にできること。それは何だろうとずっと考えていました。

今の私の生活を書きます。自分が感染者かもしれないと思って、生活しています。私だけ感染するのが心配なら、ここまでしないと思います。でも、高齢の母がいます。今も外で働く夫がいます。そして、私が感染させてしまうかもしれない人たちが、周りにいます。体温などしばらく測っていなかったけれど、自分の平熱を知るために、体温を測ります。

東京では高齢の母が同居していますが、私がニューヨークに戻った日から、弟の家に身を寄せています。来週末には、戻ってくることになっています。

朝起きると、家じゅうの窓を開け放ちます。夕方まで開けています。高血圧が心配なので、散歩やジョギングにはできるだけ毎日、出かけます。外では必ず、マスクを2枚、重ねてし、鼻ではなく口で呼吸します。

川沿いが散歩道になっていますが、川沿い以外にも公園は広がっているので、人を避けて、ジグザクに進みます。ちょっと怪しい感じですが、今は仕方ありません。狭い場所ですれ違いそうだなと思ったら、手前の広めの場所で相手が通りすぎるのを待ちます。相手がお礼に会釈してくれることもあります。ニューヨークでは、公園の遊具も消毒されています。

日本でも私はよく他人と言葉を交わしていましたが、今はほとんど話していません。なるべくものに触らず、公園でも外で飲食するのはやめました。

外食はまったくしていません。カフェにも入っていません。ふたりで向き合って食事をしていても、飛沫は飛びます。相手が、家族でも、知り合いでも。コロナが収束したら、どんどん外食します。毎日のように、カフェにも行きます。

これまで家にあった食料品で、できる料理を考えます。どうしても必要になった牛乳などだけ、できるだけ短時間でスーパーでの買い物を済ませます。料理に使うのであれば、牛乳も冷凍できます。アメリカに比べて日本のスーパーは狭いので、人との距離が近くなります。人のいない場所を選んで歩きます。昨日から、スーパーに行く時には、ニューヨーカーもそうし始めたように、ビニール手袋をしています。

家に戻ると、まず手を消毒します。庭にある水道のそばに、ポンプ式の石鹸と消毒液と、紙ナプキンを置いてあります。

一番外側に来ていた服は家に入る前に脱ぎ、外で使っているバッグも家の中に入れません。うちは幸い、門と玄関の間に屋根付きのスペースがあるので、今日、玄関前にコート掛けを用意しました。外で使ったものはすべて、そこにかけます。靴も外にそこに置きます。

郵便物はそこで開けて、いらない物はそこで「紙」として分類し、捨てます。そこに椅子を置いて、新聞もそこで読み、処分します。

昨日から、スーパーで買ったものは、家に入る前に外で消毒しています。外側の包装など捨てられるものは、外にあるゴミ箱に捨てます。そうした作業が面倒なので、なるべく物は買わないようにします。

それが終わると、また手を消毒します。ニューヨークの友人は、外から戻るとすぐにシャワーを浴びています。私はそれはしていませんが、外気に触れた衣服は、家の中に入れません。

ニューヨークから戻って、私は夫以外の人に会っていません。ベランダ越しに隣の家のおばさんとおしゃべりしし、宅配の人とひと言ふた言、交わしはしますが、時には、すぐに取りに行くので、そこに置いておいてください、とインターホンでお願いします。宅配の人のためにも。

いや、そういえば他にも会った人がいました。前々から決まっていた取材がありました。母校・青山学院大学の新聞の取材でした。ニューヨークから戻った5日後のこと。その時はまだ、アメリカから戻っても14日間の自宅待機をする必要はありませんでしたが、相手のためにキャンセルした方がいいのでは、と悩みました。が、私が予定どおり取材を受けなければ、紙面に穴が開いてしまうことになります。私の帰国を待ってギリギリまで、取材を延ばしてくれていました。

渋谷キャンパスで、という提案でしたが、電車に乗るのを避けるために、自宅近くまで来てもらいました。距離を保ちながら取材を受け、写真撮影は外で行いました。取材も外でお願いしようと思いましたが、落ち着かないかもしれないと思い、広めのファミレスで、なるべく周りに人がいない場所で、取材を受けました。

日本に戻ってきて思うのは、人との距離を取るのがとても難しいということ。こちらが気をつけていても、相手が気にしていない場合も多いようです。そしてマスクをしているから安心、と思う人も多いのでしょう。

そこまでする必要はないのかもしれません。でもこのウイルスに関しては、まだわかっていないことがとても多いのです。誰の言うことが正しいのか、わかりません。ウイルスは2メートルどころか4メートル先でも漂っている。外での空気感染もあり得る、という情報もあります。

私の親戚にも、郵便局やスーパーで、今も働かなければならない人がいます。でも、こうして私が気をつけることで、今働いている人たち、医療現場で働いている人たちに、迷惑をかけずに済むのだと思っています。

今、経済的補償がなければ、生きていけない、という人たちもいます。本当に辛いことだと思います。でも、命を落としてしまったら、もう何もないのです。命さえあれば、何か方法があるかもしれない。

ニューヨークでも、「補償するから、家にいろ」ではなく、まず「家にいろ」でした。そして人々はそれに従いました。政府の援助を待っていたら、その間に何人の命が失われてしまうのでしょう。

今。今。今なのです。今を頑張れば、これ以上の感染拡大を食い止め、ニューヨークやパリやミラノのようにならずに済むのです。

だから、お願い。家にいて。距離を取って。マスクをして。

私のような生活をしていたら、コロナ疲れでおかしくなる。精神的に参ってしまう。そこまでやりたくないよ、と思うかもしれません。でも私は意外に楽しんでやっています。

ベランダにソファを出し、日光浴や読書。ベランダで食事。ベランダ越しの会話。家にあるものを使ってレシピを考えるのも、楽しいです。おとといは初めて、数の子でクリームパスタを作りました。絶品でした。サバの味噌煮の缶詰があったので、それでグラタンを作りました。これもなかなかイケました。

100年に1度の体験。歴史に残るときを今、私たちは生きているのです。日本にいる人たちが、こんなにがんばって、コロナを克服した。そんなふうにあとで振り返ることができたら、誇らしい、と思っています。

「ニューヨークの魔法」シリーズを描き続けてきた私にとって、人と触れ合えないことがどれだけ辛いか、皆さん、わかってくださると思います。

これはどなたかの作品なので、シェアしてはいけないのかもしれませんが、あまりにすばらしいと思ったので、ごめんなさい、使わせていただきました。

今は離れて暮らしているけれど、それは君と逢うためーー。

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