生きているうちにドン(硫黄島で戦った元米兵)と会えなかったけれど、せめて火葬される前にと、1時間ほど離れた葬儀場へ、彼らの知り合いが連れていってくれた。
あの夜、友人のジェーンの家に辿り着けず、暗闇のなか、恐い思いを一緒にした彼が。
地元紙に掲載されたドンの死亡記事に添えられた写真
「自宅でベッドに寝ていたままの姿です」と案内された。
ドンが横たわっていた。
「ドン、会いに来たよ」と声をかけ、赤いダルマのもう片方の目を一緒に入れた。
話しかけても、何も言ってくれないドン。やっぱり、違う。
ドンの遺体が安置されていた葬儀場
1週間前に、ドンは希望どおりに、土葬ではなく、火葬された。
この週末、ドンの葬儀があった。今回、生きているうちにドンに会えると思って、健康祈願の緑のダルマを持っていった。
ドンに片目を塗ってもらおうと。でも叶わず、そのダルマは妻のアンにあげた。
赤いダルマは、ドンの灰と一緒に、お墓に納めてくれるという。
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