可愛がってくれた叔父が死んだと、深夜、電話があった。眠れず、しばらく呆然としていた。
なぜ、もっと早く会いに行かなかったのか。
自分の弟である叔父を、母は幼い子どものように可愛がっていた。深い悲しみに満たされているはずだ。
でも、母はいつもとまったく変わらない様子で、朝食を食べ、テレビを見て、美容院に行かなきゃ、と出かけていった。気丈に振る舞っているようにも見えない。
朝、私の仕事用のデスクに、夫のメモが置かれていた。
おじさんのこと、残念でした。お母さんも悲しいと思うので、やさしくしてあげましょう。
母にそのメモを見せた。じっと見つめていたかと思うと、笑い出した。どうしたの? と聞くと、字が汚くて読めない、とだけ言った。
確かに、夫の字の下手さは群を抜いている。私にも読めない。
でも、そうは言っても、母は声に出して読んでいたから、母のことを書いたところは、きちんとわかっている。母は強いな。
生きている叔父に会えなかったから、今日は山梨には行かず、悲しい気持ちを抑えて、予定どおり、外国人記者クラブでのランチに出かけた。
その人に拙著をプレゼントするために、有楽町駅そばの三省堂書店に立ち寄った。
ここは担当の書店員さんが何人も変わっても、もう何年もの間ずっと、シリーズすべて平積みしてくれている。
でも第6弾が出てから、一年以上たった。もうないかもしれないな。文春文庫の棚は大きくない。こわごわ、遠くからのぞいた。
こぴっと、がんばれっし! ちゃんと光世の本をおいてくれてるずら。
叔父の声が聞こえたよ。
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