長年、NYを見てきて、どのようにこの街が変わったのかとよく聞かれる。1990年代以前のNYは、とてもニンゲン臭かった。
地下鉄の車両で手品師の手から突然、ハトやウサギが飛び出してきた。2本のアンテナ付きの帽子を被った”宇宙人”が、「自分の惑星に帰りたいんです。寄付をいただければ、お礼に地球上の悪をすべて持ち帰ります」と、アンテナ付きの紙コップを手に、車内を回り始めた。
今はある意味、少しまともになった。
最近、マンハッタンで道を尋ねたが、その女性はわからなかった。そばにいた屋台のおじさんが、「なんだなんだ、どこに行きたいんだ?」と、聞いてもいないのに声をかけてきた。教えてくれたあとで、「何で最初っから、オレに聞かないんだよ」とおじさんが少し怒ったように言う。
NYはやっぱり、ニンゲン臭い街。だから私は、この街が好きなんだ。
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