モレ・シュル・ロワンのとけない魔法は続く(その2)あなたたちとの出会いは運命だ

Moret-sur-Loing, France

前回の続きを…

「ここが僕のうちです」。一緒にランチをいかがですか、と誘ってくれたフランス人男性の車が、家の前で止まった。

ドアが開き、中から女性が現れたが、その人は入口に立ったままだった。男性の妻だろう。


彼がフランス語で「日本人」「バゲット」「フォト」が何とかと言っている。

「日本人が僕が背中にしょっていたバゲットの写真を撮らせてほしいと声をかけてきた」とでも説明しているのだろう。

女性は何も言わず、ほとんど表情も変えず、戸惑った様子だ。歓迎されているようではない。

「突然、本当にごめんなさい」と私は英語で謝った。

「いえいえ。でも家の中が散らかっていて」と、女性は言いながら、ダイニングテーブルの上の折りたたまれた洗濯物を両手で抱え、あわてて家の奥に消えていった。

「突然、しかも他人に家に来られたら、私だって困惑するよね…」と私が日本語で夫にささやく。

その家に引っ越したばかりで、まだ荷物がそのままで家の中は散らかっているんですが」と男性が謝り、「どうぞ、すわってください」と洗濯物が置かれていたダイニングテーブルの椅子を指差す。

晴天で気持ちがいいので、まずは庭でコーヒーでも飲みましょう、と男性が言い、妻がキッチンに戻ってきた。

私たちは怪しいものではないと、せめて伝えたく、笑顔で妻に声をかけ、私たちの仕事のこと、バケーションのことなどを話した。

女性はだんだん表情が柔らかくなり、笑顔が多くなった。

「突然、本当にごめんなさいね。でもお会いできて嬉しいです」と笑顔で伝えると、「いえいえ、とんでもないです」と女性も温かい笑顔を返してくれた。

「妻は完璧主義者だから、家の中がちゃんと片付いていないと、申し訳ないと思うんですよ」と男性が笑った。

彼はコミックが大好きで、「どうぞ、見てください」と階段を上がっていく。

「2階に行っても、大丈夫ですか」と私が妻に声をかけると、「どうぞ、どうぞ。散らかっているのが、気にならないのでしたら」と笑顔で答える。

確かに床には、これからしまわれるはずのボックスなどが、あちこちに置かれていた。

その間を通り、案内された2つの部屋には、「TINTIN」(タンタンーベルギーのコミック)などのコレクションがずらりと並んでいた。

そのあとで、私たち4人は、庭で美味しいカプチーノを飲みながら、おしゃべりを続けた。

男性が意味ありげに言った。

じつは、あなたたちに見せたいものがあるんです。さっき、あなたたちとあそこで出会ったのは、fate(運命)だと思ったんです。

そう言うと、彼はさっき私たちを乗せてきた車に戻り、大きな長細い箱を手に戻ってきたのだった。

あなたたちと出会う直前に、これを郵便局に取りに行ったところだったんです。

(またまた、続く…。旅先なので、たくさん書けず、ごめんなさい)

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