冬が来ると思い出すあの話

東京は48年ぶりの寒さなんですね。

寒い冬になるといつも思い出す話。

小さな田舎町の高校に一年間、留学した。ホームステイ先のマムは、涙もろくて、いつもとてもやさしかった。

ウィスコンシン州は酪農地帯で、気候も緯度もちょうど北海道の旭川くらいだろうか。

冬の寒さは尋常ではない。うちから学校まで歩いて5分もかからなかったけれど、身の危険を感じるほど寒い時は、マムが学校まで車で送ってくれた。

ある日、いつものように友だちとおしゃべりしながら学校から家に戻った。

ふだんなら満面の笑みをたたえて迎え入れてくれるマムが、この日は仁王立ちになっていた。

Mits! すわりなさい!

私はきょとんとして、リビングルームのソファに腰を下ろした。マムの隣に。

「さっき、手にぶらぶらさせていたのは、何

ぶらぶらさせていたのは、毛糸の帽子だった。頭と耳を守るために、必ず被るようにと、さんざんマムに言われていた。

でも、私は毛糸の帽子が好きではなかった。ぶらぶらさせていたのを、マムはリビングルームの窓からしっかり見ていたのだ。

「誰が手に持ちなさいと言った   どうして言うことが聞けないの いうことが聞けないなら、うちにいなくて結構
あんなに怒ったマムをそれまで見たことがなかった私は、あまりの怖さに泣き出した。

部屋の向こうのアームチェアにゆったりすわり、黙って聞いていたダッドが、Mits! Come here.(ミッツ、おいで)と泣きじゃくる私を呼び寄せた。

そして私を膝の上にすわらせると、言った。

どうだ? 本当のお母さんみたいだろ。

 

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💛新刊「ニューヨークの魔法のかかり方」の「日本の母とアメリカのマム」に登場するマムも、「ニューヨークの魔法のことば」で私が仮免許の筆記試験に落ちた時のマムも、あんなにやさしかったのにー。

この時は本当に泣きじゃくりました。マムの話、読んでいない人、読んでね~。

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💛 ウィスコンシン州の冬の写真が手元にないので、マンハッタンから見る凍結したハドソン川をどうぞ。

 

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