過ぎ越しの祭りをレストランで祝う

過ぎ越しの祭り(Passover)が始まりました。ユダヤ教の三大祭りのひとつで、昨日3日から8日間続きます。エジプトで奴隷だったユダヤ人が、モーゼに導かれ、エジプトを脱出して自由の身になったことを神に感謝します。最初の二日の夜、「セーダ」の儀式が行われ、家族が集まって「ハガダ」を読みながら、この話を語り継ぎます。
ユダヤ人であるイエス・キリストと弟子の「最後の晩餐」は、Passoverのお祝いの食事といわれています。

©DSCF0737 祭りの間、イーストを使うイーストを使うパンもケーキもベーグルもクッキーも、家に置いておけません。その前にキッチンを中心に大掃除が行われ、それはタイヘンな作業です。
ユダヤ教の法にかなった”清浄”な食事を提供するレストランは、ほとんど閉まりますが、一部のレストランやシナゴーグで、セーダの儀式がディナ―の時に行われます。
正統派ユダヤ教徒の友人家族も、ゲイルも彼女の家族も今この時期はNYにいないので、一緒に祝えず残念でした。ゲイルは家族とPassoverをお祝いするために、フロリダに行きました。
とくに高齢になると、寒い冬の間はフロリダに住むニューヨーカーは多いです。

DSCF1324 昨夜は同じ正統派ユダヤ教徒の80代の知人(…といっても、まだ2度しか会ったことがない人)が、この高級レストランのセーダのディナーに、私を招待してくれました。
家で食事を作るのが面倒な人などが、レストランに集まりました。大家族でやってきた人も。しかし、ひとり200ドルもするのに、家族で来るってすごいですよね。

聖職者・ラビがテーブルにつき、みんなでヘブライ語と英語でハガダを読み、彼の指示に従って、途中で手を洗いに行ったり(洗う方法も決まっている)、象徴的な食べ物を食べ、赤ワインを飲み、セーダが進められました。
ハガダを読んでは、2枚目のマッツォを割ってください、またハガダを読んでは、赤ワインを注いで右手でもってください、ハガダを読み、苦しみの涙の象徴として塩水にポテトを付けて食べてください、ハガダを読み、辛い日々に思いをはせる西洋わさびや、奴隷として作った煉瓦の象徴ハローセス〈刻みリンゴにシナモンやナッツを混ぜたもの〉を、マッツォにはさんでサンドイッチにしましょう、またハガダ、そして、流した涙を思い、ポテトを塩水に浸して食べましょう…と、とにかく長いのです…。ハガダを読む間、赤ワインのグラスも持ち続ける手も疲れます。お皿には、春の訪れを意味する卵、神殿で捧げられた生贄の羊の骨もありました。

8時半に始まり、レストランを出たのは零時でした。

セーダのあとは、前菜、イースト菌を使わないマッツァ・ボール入りのスープ、主菜、デザート。私が頼んだ前菜はゲフィルテ・フィッシュをキングサーモンで巻いたもの。Gefilte fishはユダヤ教徒の伝統的な魚料理で、「つみれ」のようなもの。『ニューヨークのとけない魔法』に出てきますね。友人ゲイルの両親の家でハヌカのお祝いをした話に。

 主菜はプライム・リブ! 美味しかったです。

©DSCF1325 ハガダを読みながら赤ワインを4杯も飲む(飲まなければならない)ので、お酒に弱い私は、心臓がバクバクして苦しくて、家に着くまでタイヘン! 帰宅したとたん、そのまま寝てしまいました。
今年は過ぎ越しの祭りの始まりが、ちょうど安息日と重なりました。電気に触れることも仕事をすることも許されず、正統派ユダヤ教徒は、毎週の安息日にも厳格に守っています。そのため、レストランでは写真も撮れず、お見せできないのが残念です。
1枚目の写真でお店の外を歩いている人たちは、正統派ユダヤ教徒です。彼らのシナゴーグに私たち夫婦が連れていかれた?話が、5月8日発売の『ニューヨークの魔法をさがして』(文春文庫)に書かれていますので、楽しみにしていてくださいね。
2枚目はレストランで読んだハガダとディナーのメニュー。3枚目もハガダです。
彼らはとてもフレンドリーですが、異性同士では握手することも禁じられています。
今夜はサラの家で「セーダ」に呼ばれています。彼女は正統派ユダヤ教徒ではありませんが、多くのユダヤ人のようにお祝
いします。今夜は写真を紹介できると思います。

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