私には弟がふたりいる。下の弟は、元旦には滅多に仕事を休めない。今年も無理だろうと思ったけれど、暮れに弟にメッセージを送った。
「元旦、もし仕事が休みなら、母と一緒に過ごすお正月もあと何度あるかわからないから、ぜひうちに来てください」
上の弟も暮れには高熱で寝込んでいたから、みんなで集まるのをあきらめていた。ギリギリになって、義妹ふたりから、「一緒にお邪魔します」と連絡が入った。
だから今日は、5年ぶりに3姉弟の家族8人が、母を囲んで一緒に新年を迎えることができた。下の弟は新潟の菅名岳の特別純米の一升瓶を手にやってきた。

いつもお歳暮に夫の同僚からいただく天使の海老。頭をちゅうちゅう吸うのが、最高に美味しい。下の弟も、「うっま!」と満面の笑みだった。
いつも口数が少ないのに、今日は日本酒やビールを飲みながら、楽しそうにみんなに話しかけていた。

そばにすわって、そんなやりとりを黙って聞きながら、誰よりも喜んでいるのは、もちろん母だろう。母は大きな鍋で、たくさんのお雑煮を作ってきてくれた。義理の妹たちも、サーモンとモツァレラのサラダ、きんぴらなどの手作り料理を持ってきてくれた。

天使の海老の頭を、母が作ったお雑煮に入れてくれ、と何度もリクエストするので、頭をグリルで焼いて、載せた。
母は今年90歳になる。父は45歳で亡くなったから、母は父の2倍、生きたことになる。今日もいつもの元旦と同じように、みんなで父のお墓参りをしてから、おせち料理を楽しむ。

「パパは早く死んじゃったけれど、ママは長生きして、こうしてみんなと一緒にお祝いできて、幸せだね」と私が言うと、私の夫が「こんなにいい子供たちがいてね」と私たち3人の子供に触れた。「本当にねぇ、いい子供たちでねぇ」といつものように素直でない嫌味っぽい言い方だけれど、母は喜んでいる。

来年もこうして笑顔で集まれることを願いながら、能登の人たちがどんな気持ちで今日を迎えたか、思いを馳せている。
能登の人たちに笑顔が戻りますように。そして皆さんの一年も、明るい光で満たされますように、お祈りしています。今年もどうぞよろしくお願いします。
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