東京で健診。久しぶりに胃カメラを鼻から入れた。
痛いの痛いのなんのって。左の鼻の穴にぐいぐい押し込まれて、ちょっとセンセ、鼻の穴が伸び切っちゃいます、と叫びそうになったけれど、それどころじゃなくて、つんつん突っつく時に左のこめかみ辺りに激痛が走り、「アタマ、イタイ。アタマ、イタイ」と麻酔をかけられて思うようにしゃべれないながらも、必至に意思表示しているのだけれど、「え、アタマ、イタイ?」と繰り返しながらもまったく気にする様子もなく、「はい、これから咽を通りますよ~」とますますグイグイ、グイっと!
痛みをぐっと我慢しながらも、アタシ、今、すごい顔してるんだろーなー、と考える余裕はある。
終わってから、30分くらい、左の鼻からきれいな血が出続けた。泣きそうな顔で、「もう2度とやらない…」とつぶやいたら、先生、一瞬、言葉を失ってから、笑ってた。
「口から入れるほうが痛いんだよ」だって。
鼻やら口やら、そんなところからカメラを胃まで入れちゃうって、すごい発想だな。ずいぶん前からあるとはいえ。
すべて終わって、更衣室で一緒になったおばさんにその話をしたら、「そんなに痛いんですか! 私も来年するんですけど」と言うので、「いや、私の鼻の穴が小さいのかも…」と答えると、自分の顔を私の顔にぐいっと近づけてまじまじと見て、「鼻の穴、普通の大きさですよね」と首をかしげていた。
胃カメラのあと、すぐに先生が一緒に映像を見て、咽から食堂から胃から十二指腸へとカメラが進んでいく様子を説明してくれるのは、体の中に入り込んだようで楽しい。
胃は何ともなかったけれど、軽い食道炎。
そのあと、乳癌健診でマンモグラフィー。「これも痛いけれど、胃カメラに比べたら何でもないですね」と、検査技師のお姉さんとしゃべる余裕も。
マンモグラフィー、いつもなら、胸がちぎれたでしょ、っていうくらい痛いのだけれど、今回は、痛いのは痛いけれど、なぜか、「え、もう終わり?」という感じ。
「機械が変わったんですか」と検査技師のお姉さんに聞くと、「そうなんです。前はアメリカ製だったんですけど、これは日本製なんです。だから細かいところもいろいろ考えて作られています。それと技師の腕もありますけど」と笑う。
「腕、よかったです。ありがとうございました」と伝える。
FUJI FILMが作っている機械だった。レントゲンもFUJI FILMだった。
この会社のカメラを愛用している私は、じつに嬉しい。
素晴らしい、FUJI FILM!
そういえば、この会社のカメラを買おうとしていた時のニューヨークの店員さんとお客さんの粋なやりとり。12月5日発売の新刊に出てきます。
と喜んでいたのも束の間。
胸の触診で初めてしこりが見つかった。良性か悪性か、触診ではわかりませんが…マンモグラフィーの結果をよく見てください、とのこと。
結果が出るのは、2、3週間先。
ショック。。。。
胸のしこり。。。
ぼおーっとしたまま、病院を出た。
最悪のケースをあれこれ考えてしまうから、これから外に出て、新刊の「文庫版あとがき」を書こう。
健診中にも新刊のカバーネーム(本の裏表紙の内容説明)や帯の文句が編集者から送られてきた。
この先、どれだけ生きられようと、今日すべきことは変わらないのだから。
そして、すべきことがあるって、幸せだ、としみじみ思う。
新刊を待ってくれている読者がいる、ということも。
元気が出るように、今日の写真はフランスのリールの街角の、ほっとする出会いを。
ヨーロッパ最大の骨董市があった日です。
こんなに丁寧に健診してくれて、日本の医療制度は素晴らしいです💛