マサチューセッツ州の森のなか、恐怖の一時間

ドンが亡くなった日、私は友人のJaneの家に泊まることになっていた。その日、NYからバスで駆けつけた私を、Janeが迎えに来てくれて、ドンの家に一緒に行ったのだが、彼女は先に自分の家に戻った。

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ドンの家を出て・・・
ドンのところで初めて会ったメキシコ人の男性が、夜9時頃、Janeの家に車で私を送り届けてくれることになった。私のiPhoneに録音してもらった道順だけが頼り。でも辺りは真っ暗で、道に迷った。森のようなところだから携帯の電源も入らず、電話もできない。録音を繰り返し聞き、同じ道を何度も行き来し、すでに10時近い。
Janeの家には何度か泊まったが、真っ暗だから、家もよくわからないし、iPhoneのアドレス帳に住所を書き忘れていた。でも、住所がわかっても、暗くて家の番号など見えない。人影はまったくないし、どこへ行っても木ばかりで景色は同じだし…。
たまに灯りのついた家を見かけると、「ドアをノックして、電話を借りようよ」と私が提案するのだが、メキシコ人の彼は、「そういうことはしないものだよ」と繰り返す。
とはいえ、それらしき家を見かけると、車から降りて、この家だろうか、とふたりで周りをうろうろしてみる。家の人が人影に気づいて、銃を持っていたら、私たち、撃たれるよ、と真面目にコワかった…。
前にニュージャージー行きのバスで眠りこけ、まったく土地勘のない停留所で降りてしまったとき、夜8時頃、他人の家のベルを鳴らして、Go away!という怒鳴り声とともに追い払われ、とっても恐い経験をしたことを思い出した(「泣きたくなるほど愛おしい ニューヨークの魔法のはなし」に収録済み)。
でも、このままじゃ、Janeの家は見つからないよ。今晩、私たち、どこに寝るの? 彼の家はそこから車で1時間もかかるし、第一、初めて会った男性とふたりで寝るわけにもいかないでしょ! 私は泣きそうだというのに、この男性は、「This is an adventure.」などと言いながら、鼻歌でも歌いそうな気楽さだ。
「月を見たかい? こんな月を初めて見たよ」などと言って、わざわざ月が見える場所に車をバックしている。でも、彼が言うとおり、炎のように真っ赤で、あんな月を見たのは、私も初めてだった。

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見た月は、こんなものではなく、炎のように真っ赤でした


そうこうしていているうちに、それらしき家が見つかる。「違うかもしれないから、絶対に私を置いてどこかに行かないでよ!!」と彼に何度も頼み、ドアに駆け寄ると、Janeが立っていた。「どうやってここにたどり着けるのかと心配していたのよ」と。
無事に再会できたJaneとハグし合い、メキシコ人の男性にお礼を言って、彼を見送る。これから1時間のドライブ。ごめんね。気をつけて。しかし、初めて会ったのに、本当にいい人だ。
ドンのところにたどり着いたとき、You were here in spirit.と私に言ってくれたのが、この彼だった。

 

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恐怖のすえ、無事に辿り着いたJaneの家♡

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