今日は仕事で「ニューヨークの魔法」シリーズ誕生の地へ。紀尾井町から四谷へ歩いて戻る途中、いつも立ち寄る「ハナマサ」で、自分用に安ワインを買う。また、夫にバカにされるな。うちで飲むワインはたいてい夫のお小遣いで買うから、ちょっと遠慮して飲んでいる。と書いたら、俺より飲んでるだろ、と言われるな。この安ワインなら、ガブガブ飲めるぞ。
ハナマサでバッグにワインを詰めていると、外国人の女の子がおもちゃの乗り物(なんだったかよくわからない)に乗って、私に突進してきたので、あわてて避(よ)ける。レジのお姉さんが申し訳なさそうに私にほほ笑み、私もほほ笑み返す。
ちょっとおなかが空いたので、道を歩きながら、バッグの中からクッキーをひとつ、取り出したとき、肩から下げていたカメラのキャップが道に落ちた。辺りは暗く、キャップは黒く、歩道も雨に濡れて黒っぽいので、キャップがどこにあるかわからない。
これじゃ、どこにあるのかわからないよぉ、と独り言をつぶやいたら、だれかが私の足元でしゃがんでいる。ここですよ、とキャップを差し出す。30代くらいの男の人が、ほほ笑んでいる。通りすがりの人が、足を止めてくれた。
お礼を言い、横断歩道を渡りながら、あ、親切なあの人に、このクッキーをあげればよかった、とふと思う。人からもらった食べ物なんて、信用しないかもしれないけれど、私が今食べようと思っていたんです、と言ったら、きっとあの人は食べてくれるだろう。
ちょっとしたやりとりだけど、うれしい瞬間。写真を撮りたくなった。なんでもない写真を撮りながら、ひとりぶらぶら歩く。これから仕事関係者と夫と3人で、四谷の割烹料理屋へ。なんとなく関節が痛くて、眠くなってきた。風邪でなければいいのだけれど。