アラブ人家族とファラフェル

ベツレヘムの店先で、美味しそうなファラフェル(ひよこ豆やそら豆にコリアンダーやパセリなどの香辛料を混ぜ、丸めて揚げたコロッケのようなもの)を揚げていた。

アラブ人家族が外のテーブルで食事をしていたので、ファラフェルの写真を撮ってもいいですか、と声をかけたとたん、私の両脇にいた藤色のシャツの男性と紺のセーターの女性が同時にファラフェルをひとつずつ手に取り、「食べな!」と私に差し出した。ふたりは夫婦だった。

「いえ、写真を撮りたいだけなの。これからすぐに夕食を食べることになっているから」と話しているのに、「いいから、いいから、一緒に食べろ」と言って、どこからかテーブルを持ってきて、自分たちのテーブルにくっつけ、椅子も二脚持ってきた。藤色のTシャツの男性が立ち上がったかと思うと、店の人がすぐに追加で小皿料理やローストチキンを持ってきて、私たちのテーブルに置いていった。

彼らはアラブ人。2家族でベツレヘムを訪れていた。ナザレ(イエス・キリストが30年間ほどマリアとヨセフ(両親)と暮らした町)のそばに住んでいて、毎年、クリスマスとイースター(キリストの復活の祝い)には、ベツレヘムを訪れるというクリスチャンだった。

パレスチナ自治区のベツレヘムには、主にアラブ人が暮らしていて、ユダヤ人はいない。イスラエルとの間には、イスラエル側が作った高いコンクリートの分離壁が巡らされている。「ここに住むアラブ人たちは気の毒だわ。私たちの地域では、ユダヤ人もアラブ人も一緒に暮らしているのよ」と紺色のセーターの女性。

藤色のシャツの男性は電気技師、女性は看護師。そして息子(手前左)。紺のシャツの男性は建築関係の仕事、向かいの女性は彼の妻で会計士。そして9才の娘。男性ふたりはあまり英語を話せなかったが、看護師の女性と9才の娘の英語はとても上手だった。

彼らと話しながら、彼らの住む町の名前などを、私が忘れないようにiPhoneに打ち込んでいると、藤色のシャツの男性が、私のiPhoneを取り上げて、「そんなのあとでいい。食べろ! 食べろ!」とすすめる。本当に温かい人たちだった。ファラフェルはニューヨークでもパリでも大好きで食べていたけれど、ここのは香辛料がよく効いていて本当に美味しく、毎日のように食べています。

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