小さな石鹸 カタカタ鳴った。あなたは私の体を抱いて 冷たいねって 言ったのよ。若かったあの頃 何も恐くなかった ただあなたのやさしさが 恐かったーー。学生だった頃、いつかこんなふうに好きな人と暮らせたら、と憧れていた。
さっき、近所で「神田川」してきた。子どもの頃、洗面器を抱えて近くの銭湯に行った記憶がある。ごく普通の銭湯は、何十年ぶりだろう。今はどういうスタイルで行けばいいのかわからず、洗面器に石鹸やシャンプーを入れて、そのままバッグに。銭湯の受付で「洗面器はあるんですか」と聞いたら、予期せぬ質問だったらしく、「?? 洗面器? 洗面器って、あの…洗面…器、ですか。はい、もちろん、ありますよ」と聞き返され、恥ずかしかった。
昔の銭湯にはなかった露天風呂などなど(毎日でも通いたくなったゆえ、いつか読者に遭遇!したら恥ずかしいので、詳しく書かないけど…)。ボディジェット・バスも気持ちよく、脇腹や足の指など全身お試し。ジェットの勢いがすごくて、全身骨折、内臓破裂するかと思った。
スーパー銭湯と違い、これで460円。数が激減しているが、自治体で守られていて、水道代はほぼゼロというところが多いらしい。日曜日だから、家族連れや若い人も少なくない。
銭湯に行ったのは、家の浴室の給湯器が突然、壊れたから。突然のことで大慌てしたけれど、お陰で思いがけない贈り物。困った事態も、楽しめるものですね。
さっき、私の体を抱いて 冷たいね とは言わなかったけれど、ちゃんと髪乾かさないと風邪ひくぞ、と心配してくれたのは、あの頃、あの歌を一緒によく口ずさんだ、あなた。
*写真はこの日の銭湯とは異なります。