【母とクリスマスツリーの点灯を】

 母の全身麻酔の手術日が決まった。講演会の数日後でよかったけれど、手術日はなんと90歳の誕生日。
 今日は、講演会の準備の合間に、母の歯科の治療に立ち合う。今、母の健康状態はすべて私が把握していなければならない。
 歯医者さんは駅前ロータリーに面していて、治療が終わると、外から演奏が聞こえてきた。ペンライトの灯りを手に、ツリーの周りに人々が集まっている。
 外食が大好きな母が「何か食べていこう」と言う。講演会の準備をしなきゃ、と焦っているけれど、母の気持ちを大事にしたくなる。
 ロータリーに面した雰囲気のいい喫茶店(と呼ぶのが相応しい)の窓辺の席が空いていたので、そこに入る。
 母は大好きなカレー(帆立の海老入り)を注文。カレーが美味しそうだったけれど、辛すぎた場合に備えて、母が代わりに食べられるように、私はハンバーグとサラダのセットを頼む。結局、どちらもとても美味しくて、母と分けて両方食べた。

 母と見る、初めてのクリスマスツリーの点灯。母はタクシーで帰りたがったけれど、なかなかやってこない。バスだとここから乗り換えになる。私は運動不足にならないように、バスの乗り換えの停留所まで早歩きで行くことにする。列に並んでいた女性が、「お先にどうぞ」と譲ってくれる。
 そして、「私が一緒にいてあげるから、大丈夫ですよ」と私に言ってくれた。
 乗り換えのバス停で、列に佇む母の姿があった。母の前にさっきの女性が立ち、ふたりでおしゃべりしている。
 その女性にお礼を言い、「お友だちができてよかったね」と声をかけると、「うん」と笑う。同じ町に住んでいるという。
「あなた、歩くの速いのねー」とその女性にほめられ、私もうれしい気分。
「じゃあ、私は歩いて帰るから。お願いします」と女性にお任せし、また歩き続けた。  
 私は日本でも見知らぬ人とよく言葉を交わすけれど、母といるといろいろな人が助けてくれる。今日みたいに。
 東京でも、人と人との垣根が低い。ニューヨークのように。
 街はもうすっかりクリスマス。母の新しいお友だちのおかげで、私の心もクリスマス。思わず笑顔になって、スキップしたくなる。

 来年もまた、あの喫茶店で点灯を見ようね。そして今日のように、バスで家に帰ろう。きっとまた、すてきな人と巡り会えるよ。

 これまでだったら、私が母の写真を撮ろうとすると、いつも異様に嫌がって怒り出したけれど、最近は素直に撮られるようになった。ポーズしちゃって。


 SNSでみんなが「いいね」して、励ましてくれるのが、うれしいのかな。
 母は娘には絶対にそんなことは言わないけれど。
 母をよく知る娘は、そう思う。

 さ、今から講演会の準備するよ。みんな、来てね! 

 講演会はこのチラシのQRコードからお申し込みを。

 親睦会(7ー9時)は明日で締め切ります。定員を少し増やせました。食事と飲み放題で格安、税込3850円です。当日、お釣りのないようにお願いします。講演会のお申し込みはこちらから↓

https://forms.gle/at8AD1LuZqKeznt99

Screenshot

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください