寒いなか、真壁を訪ねてきてくれた人をもてなしたいーー。
そんな思いから始まった真壁のひなまつり。
蔵で眠っていたおだいりさま、おひなさま、三人官女、五人ばやしなどが、出迎えてくれました。
見世倉や土蔵が軒を連ねる歴史ある町並みに、約160軒の家がひな人形を飾ります。
東京からはつくばエクスプレスで45分。ひなまつりの期間は、そこから真壁まで観光バスが出ています。チケット売り場からバス乗り場まで、大歓迎して案内してくれるおじさん。バスには、バスガイドさんまでいて、お土産に地元のお米を配ってくれます。
人生を楽しんでいるおひなさまたち
動物のおひなさまたち
これは商品。値札がぴらり。可愛かったので、ニューヨークの友達にプレゼント、と思ったけれど、
おだいりさまの冠が折れてしまいそうで、断念しました。
由緒あるこの家には、江戸、明治、大正、昭和と、時代を越えたおひなさまが勢ぞろい
このお顔のつや! 「陶器ですか、と聞かれるんですけど、木なんですよ」とこの家の親戚の女性が説明してくれました。
旧郵便局は重要伝統的建造物保存地区の中心にあります。この建物、現在は使われていないようですが、内部も一見の価値があります。
旧郵便局では、地元幼稚園の子どもたちの手づくりのおひなさまも飾られています。
こんなに真剣に見つめている人は、ほかにいません!
旧郵便局の二階の窓から
風情のある街並みです
図書館には、読書するおひなさまたち
ふと上を見上げると、そこにもおひなさまたちがずらりと。
階段にもずらり
雪遊びをするおひなさまたち
酔っ払ってるのは、官女?
けんけんぱの石蹴り遊びの輪を、チョークで地面に黙々と描き続けていた少女
後ろからベビーカーに乗った男の子がやってきて
ふと見つめ合うふたり。
真壁から筑波駅行きの最終バスに乗る前に、きんぴらごぼう菓子を3袋1000円で買うと、同じ値段で売っていた手づくりかりんとうをふた袋、私たちに差し出しました。
そう。プレゼントしてくれたのです。
久しぶりに日本で迎えたひなまつり。
昨年12月に池袋と湘南の講演&朗読コンサートで、『ニューヨークの魔法のかかり方』(文春文庫)を朗読してくれた前尾津也子さんが誘ってくれ、こうして、人の温もりを感じるすてきな1日を過ごしました。
「この時期以外は、この町、だれもいない!」と地元の人が笑っていた。だからこそ、訪れる人たちに、やさしいのですね。出店のコーヒーも100円、200円とお財布にやさしい。あちらこちらで、食べ物も買えますよ。
あれから私は何度も、口ずさんでいます。『ニューヨークの魔法の約束』(文春文庫)に出てきたグレイス先生と、「ゆうやけこやけ」を歌いながら、マンハッタンを歩いたことを、ふと思い出しながら。
あかりをつけましょ、ぼんぼりに
おはなをあげましょ、もものはな
日本の植民地下の韓国で生まれ育ったグレイス先生。この歌も知っているのかな。
知っていたら、今度、この歌をふたりで歌いましょう。