ドイツのハンブルグで、すれ違ったドイツ人女性に道を尋ねると、「まあ、一人旅なの? なんて度胸があるのかしら。今は時間があるから、私が案内してあげるわよ。私は信用できるから大丈夫よ」と言う。
翌日の夕方、待ち合わせた。夜は伝統的なドイツのバーに連れて行ってくれた。You are invited.と言って、ポテトパンケーキのアップルソース添えとドイツビールをご馳走してくれた。
写真は、バーが暗いので、テーブルの蝋燭の灯りで地図を広げ、お勧めの場所を教えてくれている彼女。新聞社で写真の編集をしていたが、会社がフランクフルトに移転し、今は別の仕事に就いているという。
「婚約指輪をもらったけれど、結婚はしなかった。でも、この指輪は幸運を呼ぶから、付けているの」。彼女の手にはダイヤの指輪が光っている。
「自分に合った相手と出会うのは、本当に難しいわ」と彼女は言う。
本当にそうだと思う。私もこれまでにいろいろなところでいろいろな人に会った。結婚したいと思った人は夫以外にも何人かいたけれど、今振り返ってみれば、結婚すればよかった、と思う人はいない。
「あなたがハンブルグにいる間に、ぜひまた会いましょう」と言ってくれた。
「あなたはいつも出会いがあるから、明日、どこで何をしているかわからないのね」と彼女も言っていたように、気ままな一人旅だから、たぶん、今回はもう会えないと思うけれど、「ハンブルグを思い出すとき、きっとあなたを思い出すわ」と言い、ハグして彼女に別れを告げた。
Photos: Hamburg, Germany
岡田光世 / Mitsuyo Okada