美しいフィンランド・ヘルシンキにも、もうひとつの顔があった。ある建物の前で、アラブ系の男性が何人も集まっていた。彼らはシリア、イラク、アフガニスタンなどからの難民だった。なかにはその日、辿り着いた男性もいた。3か月前にやってきたという23歳のイラク人の男性と話した。片言の英語だった。両親や幼い妹をイラクに残して、ひとり逃れてきた。
Photos: Helsinki, Finland.
「28歳だった兄は 昨年、ISIS(イスラム過激派組織)に殺された。イラクからトルコまで飛行機で、トルコからギリシャまで泳いだ。ギリシャからマケドニア、セルビア、ハンガリーまで食べ物もなく、歩き続けた。ハンガリーでは叩かれたり、撃たれたり、大変な思いをしたけれど、列車でドイツに逃れることができた。ドイツでは水や食べ物をくれた。やっと自由を得たんだ。そして、飛行機でここまでやってきた」
Photos: Helsinki, Finland.
別れ際にBest of luck to you.”(幸運を祈ります)と言うと、Best of luck? と首を傾げた。
I’ll be praying for you.と言うと、にっこりほほ笑んだ。
そして、Thank you.と答えた。
彼はやさしい、さびしい目をしていた。
こうつぶやいた時、初めてあどけない顔になった。
「ママに会いたい」。
This is a refugee camp.
このの写真が難民キャンプとして使われている建物。窓から洗濯物が見える。
岡田光世 / Mitsuyo Okada
グラフィティの壁で出会った二人の続きは、ブログなら、どのように見れば?今じゃなくても、二ヶ月後でもok,凄絶な話知りたい。