ヘルシンキの街の中心地にあるプール付きの伝統的あるサウナ、ウルヨンカツに行った。フィンランド人はプールで裸で泳ぐ人も多いというから、水着をNYに置いてきてしまった私は、郷に入っては郷に従うことにした。日本ではできないことをするのが、旅の醍醐味だもの。といっても、利用できる日は男女で別れている。
このサウナは映画「かもめ食堂」にも出てくるから、日本人も多いだろうと思ったけれど、なぜか日本人どころか観光客にはまったく出会わなかった。私はサウナもレストランも、地元の人たちが行くところが好き。サウナでもプールでも、地元のフィンランド人たちと、裸でたくさんおしゃべりした。裸のサウナも気持ちいいけれど、裸で泳ぐのも気持ちがいい! 裸で泳ぐのは、20代の頃、ギリシャの海で夫と経験済み。でもこのプール、深さが3、4メートルもあって、ちょっと緊張する。プールを出るときに初めて、ライフガードが若い男性だったことに気づき、びっくり。
建物を出ると、どこかで見た人が向こうから歩いてくる。なんと、ヘルシンキでの初夜に、ボート上でのコンサートで出会ったSuvi(スヴィ)だった。オハイオ州の教授に似たあの女性。ふたりでびっくりし、思わず抱き合った。結局、その夜、彼女の友人と三人で一緒にお寿司を食べ、ほかの街に住む彼女を駅まで見送った。翌日、私は別の街に観光に行ったのだが、「またあなたに会いたいわ。戻ってくるのをヘルシンキで待っているから」と言ってくれた。が、残念ながらほかに行くところがあったので、電話して別れを告げた。彼女は本当に残念そうに、「あなたが今度、ヨーロッパに来た時に、そこが退屈だったら、またフィンランドに来てね」と言ってくれた。彼女はヌークシオ国立公園のすぐそばの森の中に住んでいるから、「泊まりに来て」とも。
この写真で、私が首を絞めているように見える女性がその彼女です。また、戻ってきたいと思える出会いが、この街にはたくさんあった。
彼女やサウナの写真はアイフォンでも撮ったが、雨に濡れたせいか、突然、アイフォンの電源が入らなくなってしまった。今、シリカゲルと一緒にビニール袋に入れて乾燥させて、様子を見ているところ。土砂降りというわけでもなかったのに、雨に濡れただけで、こんなことになってしまうとは。画面が真っ暗になってしまったあとで、5秒ほどうっかり充電してしまったので、ちょっと心配。エッセイにしたい情報がアイフォンにはたくさん入っているから、故障していないことを祈りながら、そろそろ眠りにつこうかな。おやすみなさい。
岡田光世 / Mitsuyo Okada