ウィスコンシン州のホストファミリーのお兄さんジョンから、数日前にクリスマスのグリーティングのメッセージが届いた。そこに添えられていた2枚の写真を開いたとたん、今年のあの夏の記憶がよみがえった。高校生のときに留学していた、ウィスコンシン州の田舎町に帰ったときだ。
私が戻ってくるというので、ジョンの家に、15人くらいが集まってくれた。ホストファミリーのお姉さんディーディーは、西海岸のカリフォルニア州から飛んできた。もうひとりのお姉さんのスーと彼女の子どもや孫たちは、同じウィスコンシン州でも東の端のミルウォーキーから、片道5時間かけて車を運転してきてくれた。
亡くなったマムとダッド、おばあちゃんのマジーの話などを懐かしくしながら食事をし、写真を撮り合い、少し落ち着くと、ジョンがプラスチックの箱を抱えてやってきた。
「ミッツ、覚えているかい?」
中にはクリスマスツリーに飾るオーナメントが入っていた。その中に、赤と青の折鶴が1羽ずつ、まじっていた。
「君がサラとジャシュワのために、折ってくれたんだよ」
もう、20年以上も前のことだろう。私はすっかり忘れていたけれど、赤い鶴にはカタカナで、ジョンの娘「サラ」、青い鶴には息子の「ジャシュワ」と、ふたりの名前が書かれていた。
「あれから毎年、クリスマスになるといつも、これを一緒にツリーに飾っているんだよ」
そして、数日前にジョンから届いた2枚のクリスマスツリーの写真には、赤と青の鶴が、たしかに飾られていた。
岡田 光世 / Mitsuyo Okada