イギリス・ボーンマスのとけない魔法

悩みに悩み、「ニューヨークの魔法」シリーズの最後の本となる新刊のタイトルが決まりました。皆さん、たくさんのアイデアをありがとうございました。来週はじめにはアマゾンで予約発売が始まりますので、そのときにお知らせしますね。5月9日、発売予定です。

ニューヨークは氷点下が続いていましたが、今日はちょっとだけ暖かい。今日はイギリス南部のボーンマスのとけない魔法をひとつ。

私は原稿を書くと、いつも夫に読んでもらい意見を聞く。この前のトランプの連載記事が遅れ、直前まで書けていなかった。イギリスに出張中の夫から、私の原稿を読むために、「(現地時間の)午前3時にホテルにモーニングコールをお願いして寝るね」とメールが届いた(夫は携帯を持たないので、目覚ましもなし)。

メールが届いた時、夫はもう寝ていた。夫はその日、夕方まで仕事はないと言っていた。私はすぐにボーンマスのホテルのフロントに電話。事情を話し、「疲れているのにそんなに早く起きてほしくないから、モーニングコールをキャンセルしてもらえないでしょうか。私が責任を取るので」と伝えた。

   電話に出たのは、少し訛りのある英語を話す女性。

「でもあなたの夫が怒ったらどうするの?」

「大丈夫。絶対に怒らないから。今から彼にその旨、メールするから」

  女性はしばらく沈黙。

「彼はあなたのためにそうしたいのだから、そうさせてあげたら? あなたを喜ばせたいのよ。それが彼の気持ちなんだから」

「いやいや、疲れているのに、そんな時間に起きる必要はまったくないの。だからお願い」

「わかったわ」

「ありがとう。感謝します。あなたはどこの出身?」

「リトアニアよ」

「リトアニアのカウナスに行ったことがあるわ。第二次大戦時、そこの日本領事館に、杉原千畝という副領事がいて、たくさんのユダヤ人を救ったの」

   女性は杉原氏をほかの人と勘違いしていたけれど、私がリトアニアに行ったことがあると聞いて、とても喜んだ。

 「ボーンマスはとてもいいところだと夫が言っていたから、いつか私も行ってみたいわ」

「そう、いいところよ。私はロンドンに住んでいたけれど、ここがとても気に入って、引っ越したのよ。じゃあ、いつかあなたに会えるわね」

「そうね。だからしばらくそのホテルで働いていてね」

  訪れたことのないボーンマスが、私にとってもただの町ではなくなった。訪れる前から見知らぬ人が、見知らぬ人ではなくなった。きっとボーンマスでも、魔法が待っている。

【講演会と懇親会のお知らせ】

https://cul.7cn.co.jp/programs/program_859452.html

場所:池袋コミュニティカレッジ  

   お問い合わせ☎️03-5949-5481

日時:5月11日(土) 

講演会13:30-15:30 

著書販売&サイン会15:15-16:15 

懇親会 16:30-18:30

☕️「ニューヨークの魔法」シリーズ(文春文庫、第1弾〜第8弾まで)ー世界一お節介で、図々しくて、孤独な人たち。でも、泣きたくなるほど、温かい。たった一度のあなたの人生を、もっと肩の力を抜いて生きていこう、と思うはず。どの話にもニューヨークでよく耳にする英語がちょっとだけ入っていて、ほっこりしながら英語も学べます。シリーズのどの本から読んでも楽しめます。シリーズはすべて、普通の文庫(紙)もKindleもあります。内容はAmazonでどうぞ👉 http://urx.red/JuoP

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