感謝祭が来ると思い出す、あの日のテーブル

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「ニューヨークの魔法」シリーズ(文春文庫、第1弾〜第8弾まで)。世界一お節介で、図々しくて、孤独な人たち。でも、泣きたくなるほど、温かい。たった一度のあなたの人生を、もっと肩の力を抜いて生きていこう、と思うはず。どの話にもニューヨークでよく耳にする英語がちょっとだけ入っていて、ほっこりしながら英語も学べます。シリーズのどの本から読んでも楽しめます。シリーズはすべて、普通の文庫(紙)もKindleもあります。内容はAmazonでどうぞ。下のチラシをクリックす☕ると、「ニューヨークの魔法」シリーズの第1弾に飛びます。

 

感謝祭が来ると、あのディナーのテーブルを思い出します。

ビルは癌が見つかり手術をしたものの、医療ミスで不随になり、車椅子の生活になりました。

そして六年前の秋に他界。

朝起きると、ベッドルームの窓からハドソン川を眺め、Life is good.とつぶやいていた彼ーー。

感謝祭の食事は、サラが二十時間かけてすべて自分で作ったという。

クランベリーソースを添えて食べる七面鳥の丸 焼き、キャベツのクリーム煮、デザートのプラム・タルトなど、サラの料理は逸品だ。

ワインで乾杯し、ひとまず皆がすべての料理を味わい終えた頃、サラが言った。

リリーの提案なんだけど、今日は感謝祭だから、自分が感謝していることをひと言ずつ、言い合いましょうか。

少し照れながら、リリーが口火を切った。

こうしてアメリカにいることを、感謝します。それと、このすばらしい家族に、感謝します。

韓国で生まれたリリーを、サラとビルは赤ちゃんのときから育てた。

ビルの父親が、おどけて言った。

今、まだ生きていることに感謝だな。

次はサラの番だ。

こうしてすばらしい夫、娘、息子、義弟、義妹、すばらしい友人たちが集まって、感謝祭を一緒に過ごしていることに、感謝するわ。

ビルの番になった。ビルは何も言わなかった。たぶん、何も言えなかった。

誰も促そうとしなかった。何も言わなくても、皆、わかっている。

そして、誰もがその瞬間、思っていただろう。

 Life is good.

人生って、いいものだね、と。

『ニューヨークの魔法のさんぽ』(文春文庫)より

 

あの頃のサラとビルの写真を、ふたりのアパートメントで私が撮っているところを、マリーパットが撮影しました。

この部屋をサラは昨年、売りました。

「英語監督ムードの光世がいいわね」とマリーパットが送ってくれたけれど、トリミングして私は腕だけーー。

Life is good.

今夜も月が美しい。

『ニューヨークの魔法のさんぽ』
東日本大震災のとき、ニューヨークにいた私に、バスのなかで、床屋で、温かいことばをかけてくれ、日本のために祈ってくれたニューヨークの人たちも登場します。

成田ーニューヨーク便のファーストクラスの客室乗務員だったマリーパットの最後のフライト。その心温まる話で、この本は終わります。

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著書_ニューヨークの魔法のさんぽ - 岡田光世

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